予想の斜め下に埋まっているブログ

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苦味の慣れと名作と「センス」の話(「バナナ・アルバム」'The Velvet Underground & Nico')

(今回の話に明確なオチはないので本当に暇な人だけお読みください)

 2年ほど前に、「自分は洋楽好きを自称しているが、いわゆる名盤に対してそんなに詳しいわけではない。リアルタイム世代でもないし、ここらで一つ知識をつけよう」と思い、米国「ローリングストーン」誌が発表している"500 Greatest Albums of All Time"の名盤を上から借りていったときがあった。

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 そのなかでも特に惹かれたのはビートルズで、いままでビートルズのイメージはいわゆる前期のものしかなく、あまり趣味でないと思い敬遠していたのだが、「ラバー・ソウル」以降のぶっ飛びかけビートルズにはこころをつかまれた。"I Am The Walrus"が特に好き。さて、本題はビートルズではない。今回話したいことの中心はバナナのアルバムジャケットが有名なこれ

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第13位にランクインしている、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの'The Velvet Underground and Nico'である。


The Velvet Underground - I’m Waiting For The Man (Live At The Matrix)

特に有名(だと自分が思っている)曲はこれで、また、曲自体は聞いたことなくてもこのアルバムジャケットは知っているという人は多いのではないだろうか。

 さて、自分もこの曲だけは知っており、ほかの曲はどんなもんだろうかと借りてみたのだが、最初に抱いた感想は「・・・・・・?」だった。ダラダラとした演奏とかったるげな歌い方に感じられ、ほかの曲で「これいいな」と思った曲はひとつもなかった。そんなわけで借りてから数週間は何度か通して聴いてみたものの、結局このアルバムの再生履歴の定位置は奥深くへと埋もれることになった。

 数か月後か一年後か。とにかく初聴からしばらくたって気まぐれにまたこのアルバムを聴くことになった。たぶん2曲目の上に挙げた曲を聴こうと思ったんだろう。するとどうだろう。1曲目から最後まですべて捨て曲がないほどよく感じられるではないか。ダラダラさは心地よい倦怠感となり脳をマヒさせていく、そんなサウンドととらえられるようになっていた。

 実は過去にほかにも似たような体験をしたことがあった。それはYouTubeで音楽をあさっていた時のことだ。そのとき3曲連続で知ることになったのが、

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この3曲だ。まだ、洋楽に対して知識がなかったので、まさに頭を吹っ飛ばされる衝撃だった。悪い意味で。「誰がこんな曲を聴くんだ」そう思った。特に2、3曲に関しては今までの自分の音楽知識からは考えられないような歌声だったので記憶に焼き付くことになった。「誰がこんなものを聞くんだ」と思って一時は捨て置いていたが、この曲らを思い出すたびにYouTubeを開くようになり、結果、現在この三組は自分の好きなバンドとなっている。

 このようなことはなぜ起きるのだろうと考えた時に自分の頭によぎったのは味覚の苦味に関する話だった。子供の時にはほとんどの人がコーヒーのような苦いものを飲食するのは苦手だったはずだ。そもそも苦味は自然界においては「それを口にしてはいけない」ということを知らせるものであり、進んで口にすべき様なものではないことは自明だ。それが大人になっていくにつれ、あるいは苦味になれるにつれ、自然の法則に反してコーヒーやビールなどを美味しいと感じるようになっていく。

 この現象と同じで一旦は「こんなもの読めない、聴けない、見れない」と思ったものであっても、いわゆる「名著、名盤、名作」はそれがそういわれる所以があるわけで、こころに何かしらの影響を与えていく。名作との接触はそのこころに種をまくことになり、いつしか芽が出ることになるといえるのだろうか。

 ここまでの話だけで結論付けるとすれば、「名作はわけわかんないと思ってもいいからとりあえず一回目を通しておくと、長い目で見れば人生を豊かにすることができる」と言えるかもしれない。しかし、実際そうだろうか。名作を楽しむことができるようになったら本当に人生を豊かにすることができるのだろうか。苦味を楽しめるようになることは自然から外れていないか?しかし、人工物を楽しむということは極めて非自然的なことだ。

 ここからさらに堂々巡りの脳内議論をすることになったので今回はここで記事を終わろうと思う。また、なにかこの話で明確なオチが思いついたら続きを書く。